第5章 変革期

2004

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2023

第2節 拡大する事業

3 中之島3丁目共同開発、中之島ダイビルの完工

1997(平成9)年8月19日、当社と関西電力、関電産業(現関電不動産開発)の3社により「中之島三丁目共同開発」に関する基本協定書の調印式が執り行われた。大阪市北区中之島3丁目においてダイビルの建て替えを含む共同開発を3社で実施するというプロジェクトであり、1989年の検討開始から8年目にしてようやくこぎ着けた調印式であった。

本プロジェクトは大阪市が推進中だった中之島西部地区開発構想の一環として、同構想との整合性を保つことを基本理念とし、すでに4丁目、5丁目で国際美術館、大阪国際会議場などのプロジェクトが動き出しており、その中で3丁目は「文化・業務ゾーン」として位置付けられていた。2000年8月に第1期工事として関電ビルディングが着工され、2004年12月に完工したが、それに続く第2期工事となったのが「中之島ダイビル」であった。

中之島ダイビルは当社の大阪地区における建て替え第一弾にふさわしく品格のあるビルを目指し、低層部にダイビルを継承した意匠を採用し、次の3つをテーマとして定めた。

◇フレキシビリティ

窓周りの柱を建物外周部に設けることで多彩なレイアウトを可能にする。またテナント執務空間への多様なニーズに対応するため、空調室外機設置スペースを確保する。その他、貸室内専用階段およびテナント専用EPSを設置可能とした。

◇ハイアメニティ

低層フロアに商業施設(カフェ、レストランなど)を設け、テナントサービス機能を充実させる。これは2007年4月に策定された中期経営計画「“Daibiru-3D”プロジェクトPhase-Ⅰ」の中で成長戦略の一つとして掲げられた「商業施設への進出」の一環として実施されたものであり、当社にとって初めての本格的商業空間運営の取り組みであった。

◇エコロジー

外装に外柱と庇を組み合わせたエコロジカル・ファサード、空調システムに河川水利用地域冷暖房システム、自然換気システムを採用し、エネルギー消費を抑制する。

地上35階・地下2階・塔屋3階の規模を持ち、設計・監理は日建設計、施工は鹿島建設が担当した。

中之島共同開発プロジェクトの第2期工事として2006年10月に建設が始まった中之島ダイビルは、2009年3月に完工し、当社の新たな旗艦ビルとなった。

外装の「エコロジカル・ファサード」で環境重視を印象づけ、建物低層部は長年にわたって大阪市民に親しまれてきたダイビルのイメージを継承した。低層階の商業エリアとともに、京阪中之島線の渡辺橋駅と地下部分の接続により入居者の利便性を高めた。オフィスゾーンには、旭化成やケイ・オプティコム(現オプテージ)などの大手企業が入居し、2009年7月には商業ゾーンがグランドオープンして営業を開始した。

物件概要 中之島ダイビル
所在地 大阪市北区中之島3-3-23
竣工年月 2009(平成21)年3月
構造 鉄骨造
一部鉄骨鉄筋コンクリート造
規模 地上35階、地下2階、塔屋3階
敷地面積 10,098m2(3,055坪)
(中之島三丁目共同開発区域内における当社所有面積)
延床面積 79,543m2(24,061坪)