第4章 拡充期

1989

→

2003

第1節 新都市空間の創造

3 建て替え工事完了

日比谷ダイビル建て替えプロジェクトは1986(昭和61)年4月30日、日建設計に建て替えの設計・監理を委託して建設計画が動き出し、1987年10月2日、鹿島建設、大林組、住友建設(現三井住友建設)の3社で構成される日比谷ダイビル新築工事共同企業体と工事請負契約を締結した。同年10月20日に起工式が挙行され、建設工事が始まった。

  • 日比谷ダイビルの公開空地

都心において稼働中のビルを取り壊して建て替えることは当社にとっても初めてのことであり、強い緊張感に包まれながらのプロジェクトとなったが、工事は順調に進み、1989(平成元)年3月、21階建ての最上階までの鉄骨が組み上がり、同月17日に上棟式が執り行われた。

完工した日比谷ダイビルは地上部鉄骨造、地下部は鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄筋コンクリート造の地上21階、地下3階、塔屋1階の規模を持ち、外観は南アフリカ産の黒色系花崗岩のバーナー仕上げと水磨き、白色系花崗岩の水磨き、そして熱線吸収反射フロートガラス窓の4種類を合わせた市松模様で構成され、端正な容姿と相まって建物のグレードの高さを醸し出した。この完成によって延床面積、貸室面積とも旧ビルより大幅に拡大することができ、当社に増収をもたらした。

当初の計画では、この第Ⅰ期工事に続いて第Ⅱ期工事を開始する予定であったが、東京都から歴史的建造物として建物を保存できないかとの要請が出されたことでその対応に時間がとられ、2号館の解体工事と第Ⅱ期工事開始は1990年3月にずれ込んだ。

1991年11月29日、旧2号館跡地にエントランスホールおよび高層棟の地下1階を延長させて店舗フロアを建設する第Ⅱ期工事は計画通りに完工し、竣工式が行われた。本館の東側に接続してすべてがガラス張りとなったエントランスホールが完成し、旧2号館跡地のうちエントランス部分を除いたスペースはすべて公開空地となった。また、ホールに接してボックスウッド(西洋イヌツゲ)を密集させた緑地帯を設け、一方に幅13.7mの滝を設置した。滝の上部には分厚い壁を設け、そこに6個のライオンのお面を装着し、口から水を流し落とすガーゴイルとして利用する工夫を凝らした。さらに旧1号館に飾られていた獣面や動物たちの彫刻が装着され、都市における印象的な光景としてマスコミにも取り上げられた。公開空地の地下部分には和食の高級レストランが営業を開始した。

物件概要 日比谷ダイビル
所在地 東京都千代田区内幸町1-2-2
竣工年月 (I期)1989(平成元)年10月、(II期)1991(平成3)年11月
構造 鉄骨造
一部鉄骨鉄筋コンクリート造
規模 地上21階、地下3階、屋階付
敷地面積 3,489m2(1,055坪)
延床面積 29,961m2(9,063坪)