第5章 変革期

2004

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2023

第1節 商船三井による連結子会社化と経営計画の推進

7 新中期経営計画の継続策定

2013(平成25)年4月、2013~2017年度を計画年度として新しい中期経営計画として「“Design100”プロジェクトPhase-Ⅰ」を策定した。「Daibiru Excellence toward Sustainable Innovative & Global Next 100(Century)」で使われているD、E、S、I、G、Nの6文字から命名された計画であり、初めて5カ年計画としたのは地道に継続的に計画に取り組むとの方針からであった。

  • アリア恵比寿南

前計画の「“Daibiru-3D”プロジェクトPhase-Ⅱ」期間中、空室率は高止まり、また賃料水準も軟化するなどの厳しい経営環境にさらされ、2010年4月の青山ライズスクエア以外は東京でのオフィスビル取得は進まなかったこともあって目標として掲げた利益計画の内、達成できたのは経常利益(98億円)のみとなった。折しも2013年に創立90周年を迎えるため、100周年までの10年間を次の100年の道筋をデザインする準備期間と位置づけ、賃貸オフィス事業の先駆者としてこれまで培ったノウハウを礎に、新たな100年の道筋を創造していくことを表明した。

本計画では、重点投資分野に5年間で1000億円を投資するとし、東京都心3区(千代田区、港区、中央区)を中心とした優良なアセットへの投資、高齢者向け住宅分野でのアセット拡大、海外のベトナムでの高品質オフィスビルの開発に加え、保有アセットの競争力強化/環境性能改善・BCPのための投資として新・新ダイビルの建て替えプロジェクト、リニューアル投資による既存ビルの競争力強化を図るとした。アクションプランとしてはアセットの競争力を支える施策として、「オフィスビル・サービスの一層の向上」「人材育成に関する組織的取り組み」「ブランド戦略による認知度向上」を掲げた。

高齢者向け住宅分野でのアセット拡大の一環として取得したのが、JR山手線恵比寿駅に近い介護付有料老人ホーム「アリア恵比寿南」であった。都心へのアクセスも良く、落ち着いた居住環境にあり、ベネッセスタイルケアが施設運営を行っている優良物件であった。

なお、2016年3月に国内不動産の取得・開発業務を専門で行う不動産開発室(現投資開発部)を設置し、東京都心を中心とした優良アセットへの投資を加速することとした。

2018年4月に策定した「“Design100”プロジェクトPhase-Ⅱ」(2018~2022年度)では、Phase-Ⅰが収益・利益計画はおおむね達成できたものの、投資計画は未達に終わった事実を踏まえ、「経営理念への回帰」をテーマに据え、新たな飛躍を目指した。投資総額は1200億円とし、重点施策としたのが「都心大型オフィスビルの取得」「投資対象の拡充」「海外事業の推進」「既存アセットの競争力維持・強化」「ビル管理事業の強化・拡大」であった。

なお、「“Design100”プロジェクトPhase-Ⅱ」(2018~2022年度)の最終年度にあたる2022年度の営業収益は426億83百万円、営業利益は99億8百万円、経常利益は103億63百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は88億46百万円となり、当期純利益において計画目標を達成。また投資計画については、2022年4月に商船三井による完全子会社化を契機として国内外において投資を進めた結果、当初計画にあった目標を大幅に上回った。