第4章 拡充期

1989

→

2003

第2節 CIの導入と社名の変更

1 CI導入計画の開始

オフィスビルを建設し、テナントを募集していくにあたって、また資本市場を通じての資金調達、さらに優秀な人材を確保していく上で、企業としての知名度がきわめて重要になりつつあった。そこで当社は1987(昭和62)年1月1日、「当社が正しく社会に受容されるためのコミュニケーション計画を立案するとともに、企業理念、企業行動、企業表情などを明確にすることによって会社の活性化を図る」ことを目的としてCI委員会を発足させた。実施にあたっては専門家による調査と助言が不可欠であるとの判断から電通にイメージ調査を依頼した。トップインタビューに始まり、全社員へのアンケート、テナントや大株主、一般投資家、オピニオンリーダー、同業他社、建設会社、リクルート関連のグループインタビューを実施した結果、いくつかの問題点が浮き彫りとなった。すなわち「情報発信量が不足しており、ローカルな貸ビル専業会社というイメージが定着している」「安定イメージはあっても、成長イメージに乏しい。堅実さのみでなく、発展的なイメージが必要」「企業文化は安定志向のもと、保守、内閉化の傾向が強い」「リスク回避意識の浸透がモラルの低下につながっている」「環境への挑戦性と外部志向性の強化といった企業文化の革新が必要」といったことであった。また、社名変更が必要かどうかという点については、将来の事業拡張という点では「大阪」のついた現社名は必ずしも適切ではないが、一方で現社名に対する愛着も強いことが判明した。

  • コミュニケーションネームロゴ

こうした結果からCI計画では一気に社名を変更するのではなく、将来の社名変更に含みを持たせたコミュニケーションネームを付加したイメージ戦略を展開し、時期の醸成を待つという決定がなされた。

こうして登場したのが、馴染みの深い「大ビル」をカタカナにした「ダイビル」というコミュニケーションネームであり、この愛称を1989年1月1日から使用を開始した。新たなロゴタイプも決定し、さらに3タイプのバリエーションが用意された。