第4章 拡充期

1989

→

2003

第1節 新都市空間の創造

4 リニューアル計画の始動と実施

1993(平成5)年7月1日、当社はリニューアル委員会を発足させ、築後年数のたった所有ビルのリニューアル計画を始動させた。中長期的な視点に立ち、急速に進展する情報化社会に対応して設備を更新していくべきという認識からであった。コンピューターの普及・高度化が進み、ビル設備の技術革新も著しいなかで、陳腐化した設備ではテナントのニーズに応えることはできない。そのためにも電気容量の拡大や床配線のフリーアクセス化、空調の効率アップを可能にする新システムの採用、アメニティの向上を図るための改修工事が必要とされた。

  • リニューアルした八重洲ダイビル

こうした考えから完工後25~35年経過した大阪の新ダイビル、御堂筋ダイビル、東京の八重洲ダイビルを対象に、向こう10年間にわたって100億円を超える資金を投入して設備を更新する計画とした。

リニューアルにあたっては、「テナントのニーズに対応し、高い評価を得る」「最新かつ信頼性と耐久性のある設備を採用する」「省エネルギーである」「メンテナンスの省力化が図れる」の4点を基本方針とし、テナントの協力を得ながら計画を進めた。

1967(昭和42)年に完工して以来、26年が経過していた八重洲ダイビルは諸設備の更新時期を迎えつつあったことからリニューアルを決定し、1994年1月から電気設備、空調設備、共用エリアなどの更新を行い、2001年9月に完成した。御堂筋ダイビルのリニューアルも1994年8月から開始し、電気、空調、衛生設備のほか、3~8階貸室の天井や窓の改修などを行い、1999年3月に完了した。また、新ダイビルのリニューアルにおいては、1997年から6年におよぶ大改修工事となった。これは、八重洲ダイビル、御堂筋ダイビルに比べ、建物の規模が格段に大きいためであった。賃室の床をOA対応フロアとし、天井も岩綿吸音板に改装、電気設備や空調設備も一新したほか、エントランスなどの共用エリアにも改修を加え、2003年に完了した。