第4章 拡充期

1989

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2003

第3節 災害対応とリスクマネジメント

1 阪神・淡路大震災の発生とその対応

1995(平成7)年1月17日、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.2の阪神・淡路大震災が発生した。大都市直下型のこの地震によって神戸とその周辺都市は大きな打撃を受け、死者6434人、行方不明者3人、負傷者4万3792人という人的被害を出した。大阪・中之島に本社を置く当社では阪神間から通勤している社員も少なくなかったが、最終的に6人の社員の住宅が全半壊の被害を受けたものの、家族やOB会会員を含め死傷者が出なかったのはせめてもの救いであった。

大阪の中心部でも、倒壊こそ免れたものの多くのビルで内外の壁面に亀裂が生じたり、おびただしい数のガラス片が道路上に落下したりしたほか、一部のホテルやデパートが営業できなかったりと被害は小さくなかった。そうした中で当社のビルの被害が軽微なものにとどまったのは、1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災を教訓として各ビルとも耐震性の強化を最重要テーマとして建築を進めてきたからにほかならなかった。ダイビルをはじめとする当社所有のビルでは、一部クラックが発生したり、エレベーターが緊急停止したり、一部大理石やタイルが剥離したりしたが、いずれも軽微であり、すぐさま改修によって復旧した。